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[書評]不具であることの素晴らしさ。:又吉直樹著「火花」。 [詩・小説]

正月は娘と奥さんと一緒に故郷に戻るので、今日の朝は娘との散歩ついでに自宅近くの神社にお参りをしてきた。

今年―2015年―もいろいろなことがあったけれど、今年読んだ本の中で一番面白かったのは、やっぱりこの本だったと思う。
今年すごく話題になった小説「火花」。芸人コンビ「ピース」の又吉直樹さんの小説デビュー作にして、2015年上半期芥川賞受賞作。


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[海外詩]大詩人ユーゴーの、夕暮れから先の見つめ方。:ヴィクトル・ユーゴー『6月の夜』(Victor Hugo : Nuit de juin) [詩・小説]

平日に休みが幾つか取れたので、ヴィクトル・ユーゴーの詩を訳してみた。

ヴィクトル・ユーゴーの『Nuit de juin』(6月の夜)という詩。

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[詩]暗闇に白く光る情熱と降りていく不安定さと。:中原中也「サーカス」 [詩・小説]

赤ちゃんを抱くときに、自分が知ってる歌をいろいろ歌ってみている。

抱いてるときはリズムをつけていろんな歌を歌っていればいいんだけど、布団に寝ている赤ちゃんに「だー」とか「にゃー」とか擬音語であやしているうちに、最近はNHKの「日本語であそぼ」の野村萬斎さんの真似をして、たとえば杜甫の「春望」のとか落語の「寿限無」を思いっきり抑揚をつけて語りかけてみたりしている。

(「城春にして草木深し」の「ソーモク」のところとか、「寿限無」の「ポンポコピーの、ポンポコナーの」の部分とか、結構喜んでくれる。目をそらすと途端に興味を失うんだけど。)

そうやって擬音語を交えて話しかけながら、中原中也の「サーカス」なんかを話しかけてあげると、やっぱり「ゆあーん、ゆよーん」の部分で一番興味を引かれる顔をしてくれるんだけど、この詩を改めて見直してみるとすごくいい詩だと思うので、紹介してみる。

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[海外詩]ヴァレリーの透徹した詩。:ポール・ヴァレリー『失われたワイン』(Paul Valéry:Le Vin perdu) [詩・小説]

2か月前に女の子が生まれて、父親になった。

いま僕の奥さんは赤ちゃんと一緒に実家にいて、僕は週末のたびに車を走らせて娘に会いに行っているんだけど、つまりは期間限定の一人暮らしになってしまっている。

つかの間の平日の夜の空いた時間に、なんとなくヴァレリーの詩を訳してみたら、これが本当に考え抜かれた詩だったので、ここにあげてみようと思う。

『失われたワイン』。自分が捨てようとしている何かについて謳った詩。

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[書評] 朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』 [詩・小説]

新潮文庫の新刊『小林秀雄月報集成』を読むことが、最近の密やかな愉しみになっている。

小林秀雄全集の、各巻に挟まれた月報の文章を集めたもの。

第1回配本時月報の辰野隆から始まり、川端康成、坂口安吾、安岡章太郎など、小林秀雄を巡る文章が75篇収められたこの文庫が、すごく面白い。

例えば物理学者の中谷宇吉郎は科学の世界における妥当性の考え方と、美の世界におけるそれを比較して小林秀雄を論じる。

クラシック評論家の吉田秀和は≪モオツアルト≫から得た啓示を小林秀雄との思い出に絡めて、思想の核心に触れようとする。

小説家の水上勉は、小林と桜を巡る思い出から、伝えられた思いを語る。

中谷宇吉郎の随筆、吉田秀和の評論、それぞれの持つ文章のスタイルで、一つのテーマについて書かれた文章が一冊にまとまったこの本は、まるで多面体に嵌め込まれた様々な色ガラスのようにも見える。

*

この文庫を読んでいると、別の小説を思い出す。

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妹の詩を悼む :Stéphane Mallarmé,soupir(1868) [詩・小説]

長く翻訳を試みていた詩が、ようやく完成した。

といっても、何回も挫折しては放っておく、という繰り返しだったのだけど。

最初に手を付けたのがたぶん6年くらい前。

そこから記憶にあるだけで、3回は翻訳を諦めた。


それがなぜか今年になって、最後まで意味が繋がって取れるようになった。


マラルメの「soupir」という詩。

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柿本人麻呂の歌へのメモ:万葉集 巻の二 二〇七番。(きわめて個人的なブログ。) [詩・小説]

何もする気が起きなくて、昔書いたものを読み返していたら、柿本人麻呂の歌へのメモが見つかった。

万葉集、巻二の二〇七 『 柿本朝臣人麻呂 妻が死にし後に 泣血哀慟して作る歌』。

(カッコの部分は、枕詞や序詞の部分だと思ってください。)

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シェイクスピアはすごい!:Shakespeare,sonnet No.60 [詩・小説]

うちの奥さんはイギリスが大好きで、イギリスの紅茶が大好き。

ロンドンに1か月語学留学してたこともあるみたいなんだけど、今でもイギリス英語を中心に、英語の勉強は続けているみたい。



で、そんな奥さんにあてられて、遅ればせながら僕も、イギリスの文学に興味を持つようになってきた。


あと、ウィスキーも好きになってきて、スコッチを飲んでみたくなってきてたり。
(これは関係ないか・・)




当然のようにイギリスの文学も興味を持ち始めて、シェイクスピアの詩を読んでみたら、これがすごかった。


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中国現代詩人『北島』詩集 :我々は、文化でも負けている。 [詩・小説]

中国の現代詩集を読んでみた。


読んでみたきっかけは、この本の中の一つの文章。


先送りできない日本  ”第二の焼け跡”からの再出発 (角川oneテーマ21)

先送りできない日本 ”第二の焼け跡”からの再出発 (角川oneテーマ21)

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/05/10
  • メディア: 新書



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